休業要請に戸惑い 宮古・石垣 地域経済へ打撃も


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多くの県民や観光客らが訪れる那覇市の国際通り=7月31日

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、県は5日、不要不急の外出自粛要請を県全域に拡大し、宮古島市や石垣市の繁華街にある接待・接触を伴う店舗に7日から20日までの休業を要請した。病床数が限られた離島の医療体制はひっ迫しており、事業者には「仕方がない」と受け止める向きもある。一方地域経済に与える打撃は大きく、急きょ発表された県の方針に戸惑いも広がる。

 スナックやバーなどが加盟する県社交飲食業生活衛生同業組合は、17日から加盟店舗を抜き打ちで視察し、ガイドラインを守っているか調べる。下地秀光理事長は、休業を要請されていない浦添市屋富祖などの繁華街でも自主休業が相次いでいるとして「危機感は非常に強い。観光客の入店を断る店も出ている」と話した。

 実際に、石垣市の繁華街などでは7月23~26日の4連休前に、すでに「観光客お断り」と張り紙を掲示する店舗もあった。市内の飲食業者は自粛要請について「美崎町を対象にしているが、隣接地域にも店はある。地番なのか、街全体を指すのか。自粛要請の範囲や補償の対象をはっきりしてほしい」と指摘する。

 県飲食業生活衛生同業組合八重山支部の浦﨑英樹支部長は「市民の自粛で感染者が抑えられていたので、ウイルスは島の外から運ばれてきたのは確実だ。事業者の不安も大きい」と語る。前回の外出自粛要請期間には、組合に加盟する店舗では売り上げが80%減少するなど厳しい状況に追い込まれた。「今回の要請でも売り上げは同じくらい落ち込むだろう」と話した。

 宮古島市の「AZレンタカー」は、5~6月に50%ほどまで落ちた予約率が、7月の4連休には100%に回復した。しかし宮古島市で感染者が発生して以降、キャンセルが増え始めた。離島への渡航自粛について、担当者は「観光客で成り立っている地域なので、厳しい」とこぼす。一方で、感染リスクも懸念する。「宮古島は医療体制が限られている。(感染リスクを防ぐため)来てほしくないという気持ちもある」ともどかしそうに話した。