【記者解説】沖縄の最賃2円上げ 経営者が主張を反映


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 沖縄県内最低賃金の2円引き上げは、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けている経営者側の主張が反映された形だ。当初、経営者側は現行額790円での据え置きを主張した。労働者側は本年度内に全国の最低賃金を800円に引き上げを目指す政府の意向を踏まえ15円の引き上げを求めた。

 7日の審議会で労働者側が3円、経営者側が2円を主張した背景には、現行額が沖縄と同額の九州各県が同日までに2、3円の引き上げとなったことがある。労使はお互い譲歩せず、最後は「企業存続と最低限の賃金確保」と主張した公益側が経営者側についた。

 県労連は最低生計試算調査で、東京北区と那覇市の1カ月の生活費が約24万円で変わらないことを明らかにしている。東京の最低賃金は現行の1013円で据え置きだが、沖縄とは依然221円の差がある。

 最低賃金で働く人々は生活基盤に不可欠な飲食や清掃業務などに当たる労働者だ。コロナ禍で感染リスクを背負いながら市民の生活を支えている。国や県は生活や就労支援を一層講じる必要がある。

(比嘉璃子)