【識者談話】山田健太専修大教授 通常取材も制約の可能性


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 米軍基地周辺の取材が大きく制約されるという懸念が現実となった。特に沖縄の場合、米軍関係の事故が多発しているという実態があり、事故の取材ができなくなる恐れがある。さらに名護市辺野古の基地建設について十分な情報が開示されていない中、工事の進捗(しんちょく)状況や違法性をチェックすることもできなくなる。

 県民、ひいては国民全体の知る権利を大きく制約する。沖縄県内に多くの米軍基地や自衛隊基地が存在する中で通常の取材も物理的に制約される可能性もある。

 取材倫理の問題として危険な状況で飛ばさないと判断することはあり得るが、米軍や日本政府が決めることではない。取材方法は取材する側が決める必要がある。法をどんどん拡大し、取材を制限するのは問題だ。

 今後、規制対象の米軍施設がさらに拡大されていく恐れもある。本来ならドローン規制法自体を改正すべきだが、差し当たって防衛省は「取材・報道目的のドローン飛行は認める」と明言すべきだ。

(言論法)