コロナ療養施設設置で看護師ら足りず 沖縄県、復職呼びかけ


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パネルを使い看護師や保健師の募集を訴える玉城デニー知事=2日午後、県庁(代表撮影)

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う病床確保を目的に、沖縄県は軽症者用の宿泊療養施設として那覇市や宮古島市、石垣市でホテル計4施設を確保した。病床が逼迫(ひっぱく)する中で、重症者を優先して医療機関で受け入れるための対策だが、ホテルで看護業務に当たる医療従事者が足りないという課題に直面している。離職中の看護師らの復職を呼び掛けるなど、県は人手の確保に奔走している。

 県によると、宿泊療養施設として運用が始まっている那覇市内の2ホテルについて計26人の職員が必要だが、確保が見込まれているのは16人程度にとどまっている。玉城デニー知事は「宿泊療養施設の増室を検討しているが、必要な医療従事者が不足している」と語り、人材不足が感染症対策の制約となっている。

 看護師や保健師の資格を持つ県保健医療部の職員や、数週間程度の短期で採用した看護師などを動員して急場をしのいでいるが、県職員の一般業務にまで負担がのしかかっている。

 ホテルなどの宿泊療養施設の運用について、県は2交代の24時間体制で看護業務に当たることとしている。厚生労働省のマニュアルは夜間に常駐の職員を置かなくても良いとされているが、県は医師の意見を聞いた上で「軽症者でも容体が変わるリスクがある」と常駐体制をとる。

 このため一定の職員数が必要となり、人員確保を難しくさせる一因となっているが、県保健医療総務課の諸見里真課長は「患者の安全が何より大切だ」と強調する。

 宿泊療養施設の安定的な運用のため、県は半年程度勤務できる看護師、保健師の確保を目指している。資格を持っているが現在は業務に就いていない「潜在看護師」の復職に期待するなど、県看護協会と連携して退職者などへの呼び掛けを進めている。