シークヮーサー、原因不明の立ち枯れ 沖縄・北部で拡大


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
立ち枯れした木が並ぶシークヮーサー畑 =13日、本部町

 【北部】シークヮーサーの産地として知られる本島北部地区で、原因不明の立ち枯れの被害が広がっている。幹が何らかの原因で腐り、葉が黄みがかって約1年で枯れる。JAによると、北部では名護市の他、大宜味村や本部町、国頭村でも立ち枯れの報告があることから、今後、県と共に実態の把握や対応を検討する構えだ。

 名護市勝山の「勝山シークヮーサー」(安村弘充社長)ではこれまで500トンのシークヮーサーを加工していたが、現在は250~300トンと半分近くに落ち込んでいる。

 安村社長によると、4年ほど前からシークヮーサーの木が徐々に枯れ、症状が広がった。1年たつと完全に枯れるという。菌や虫、台風による影響なのか不明で、安村社長は「市や県にもしっかり調査してほしい」と語った。

 JAおきなわ北部地区営農振興センターによると、被害が報告され始めたのは十数年前。大宜味村では約5千坪(1万6500平方メートル)の農地の半分で被害が確認された。

 シークヮーサーの木を食べるゴマダラカミキリやナガタマムシによる食害の他、土壌に病原菌が含まれている疫病の可能性も考えられるが、現段階で原因は特定できていない。疫病に有効な農薬は2種類登録されているが、改善しない事例もあるという。

 本部町でシークヮーサーを育てる男性の畑では、約10年前から被害が出始めた。根が腐って葉が落ちて枯れる。ナガタマムシによる樹皮の剥がれも併発している。被害は約300坪(約990平方メートル)の一角に集中し、10年間で20本ほどが枯れた。現在根腐れが進んでいる木もある。

 男性は「雨水の流れに沿って被害が出ている印象だ。土を全部入れ替えない限り栽培は厳しい。原因と対処法がはっきりするといいのだが」と話した。
 県営農支援課は「虫による食害や台風による被害などが考えられるが、原因はよく分かっていない。被害が多くなっているので、まずは虫の被害か病気かを判断したい」と述べ、対策会議を開いて対応を協議する考えを示した。