組踊台本や家譜「多良間村は古文書の島」 教育委シンポ、高い資料価値を検証


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 【多良間】多良間村教育委員会(池城三千雄教育長)はこのほど、村コミュニティー施設でシンポジウム「資料から再発見する多良間島の宝~ふるさと民俗学習館所蔵資料をつなぎ生かす取り組み」を開いた。村教育委員会職員や関係者らが参加し、古文書をテーマに講演とパネルディスカッションを通じて意見を交わした。

識者の解説に聞き入る参加者ら=多良間村コミュニティー施設

 シンポジウムは沖縄振興特別推進交付金を活用した、多良間自然文化継承事業の成果報告の一環。同事業は、村内の行政文書や古文書を調査研究する目的で実施されている。

 元糸満市立中央図書館長の金城善さん、県教育庁文化財課専門員の山田浩世さんらが講演した。金城さんは多良間島の系図家譜とそこに残る口上覚(こうじょうおぼえ)について解説した。「口上覚は死別や離別による跡目相続など、関係者が困っていることを役所に申請するもので、その中に屋号が出てくる。屋号を一つ一つ分析することで現代の屋号につながり、先祖探しに役立つのではないか」と話した。

 山田さんは「沖縄島、宮古島、八重山以外に士族が住んでいた島は多良間島しかない。多良間は古文書の島と言ってもいい。島には古文書がまだ家庭に眠っているのではないか」と話した。

 パネルディスカッションでは県立芸術大学付属研究所の鈴木耕太准教授が「多良間に残る組踊の台本は沖縄で一、二を争うほど価値が高い」と指摘した。「忠孝婦人村原組は一番古いかもしれない。演劇脚本として素晴らしいものが多良間に残っている。郷土で愛されているものは価値が高い」と解説した。

 参加した本村健次さんは「屋号について聞いてはいたが、自分のルーツについてもっと興味を持って調べたい」と話した。

(清村めぐみ通信員)