沖縄県内地銀3行(琉球銀行、沖縄銀行、沖縄海邦銀行)の2020年4~6月期決算が13日に出そろった。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業の業績悪化や融資への積極対応などで、3行ともに与信関係費用が増加。銀行単体で計上している与信関係費用は3行合計で15億円に上り、前年同期比3・3倍に膨らんだ。
与信費用の増加は収益を圧迫し、3行合計の経常利益は前年同期比39・7%減の27億円、純利益は同52・4%減の14億6700万円となった。感染症が銀行の収益環境に徐々に影響を与えていることが浮き彫りとなった。
第1四半期は琉銀、沖銀は減収減益の決算となった。海銀は減収増益だが、システム導入に伴い費用が増加していた昨年同期からの反動増という側面が強く、同行は「実質は減収減益」と捉えている。
3行は取引先企業に対して、新型コロナ関連融資や既存融資の条件変更などに積極的に対応してきた。4~6月の新型コロナ関連融資の実行件数は、3行合計で少なくとも4360件、約650億円に上っている。その結果、貸出金残高は3行ともに増加したものの、利回りは低下傾向にある。
さらに、琉銀と海銀は融資資金を回収できない可能性に備える一般貸倒引当金を積み増した。自己資本比率の高い沖銀は一般貸倒引当金は前年比で減少したが、業績悪化した融資先の評価引き下げなどで個別貸倒引当金が増加した。いずれも企業への支援が与信費用の増加につながった。
感染症の急速な拡大によって沖縄観光の最大の書き入れとなる夏場の需要が減少しており、県経済の先行きは不透明感が強まっている。3行は今後も企業に対する融資や条件変更への対応を続けつつ、事業承継や経営計画の策定など本業への支援にも注力していく考えだ。
(池田哲平)