コロナ禍、国家試験延期できる?


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 「18日から税理士試験が実施されるが、高齢の両親と同居しているので、新型コロナウイルスの感染が拡大しているこの状況では受験するのが不安だ。試験は延期にできないのか」―。県内での新型コロナの感染者急増を受け、税理士試験受験予定者から琉球新報にこんな声が寄せられた。8月は税理士のほか、公認会計士の試験も予定されている。税理士試験には県内から343人が、公認会計士試験には46人が受験予定だ。

 玉城デニー知事は7月31日に県独自の緊急事態宣言を発令した。8月13日には警戒レベルを「感染蔓延(まんえん)期」に引き上げ、緊急事態宣言を延長して今月29日まで不要不急の外出を控えることなどを求めている。

 別の国家試験予定者も「今この状況で実施した場合、緊急事態宣言が出ている地域の受験生が試験を断念せざるを得なくなる確率が高い」と指摘し、緊急事態宣言下での試験実施に疑問を呈した。

 沖縄での試験延期を求める声に対し、国税庁沖縄国税事務所は「税理士試験は国内12カ所で一斉に行われることになっているので、一地域だけ延期はできない」と説明する。その上で「全国一斉に延期、中止となると年1回の試験のために勉強してきた人が影響を受ける。国税審議会は感染拡大防止対策を取った上で実施すると判断した」と開催に理解を求める。

 国税審議会は感染防止策として、体調不良の場合は受験を控えることや検温の実施、マスク着用、消毒の徹底を受験者に求めると同時に、会場の混雑緩和、定期的な換気をすることなどを挙げている。

 県内の試験会場は那覇市の沖縄産業支援センターで、複数の部屋に分けて試験は実施される。沖縄国税事務所は「試験会場は席の間隔を1メートル以上開け、収容率が50%以下になるようにする。感染者が増加しており不安もあると思うが、それを払拭(ふっしょく)する対策を取っていく」と強調した。

 公認会計士試験第Ⅱ回短答式試験も今月23日に、那覇第2地方合同庁舎で実施を予定する。例年は第Ⅰ回を12月、第Ⅱ回を5月に実施するが、今年は国の緊急事態宣言を受けて5月の試験が8月に延期になった。

 公認会計士監査審査会は十分な感染防止措置を取ることを説明した上で、「現状では変更の予定はない」とした。受験を取りやめる人に対しては「受験手数料を返金して次回に備えてもらう」として、14日まで還付申請を受け付けた。

 10月18日には宅地建物取引士資格試験が全国一斉に実施される。新型コロナの影響で全国的な会場不足が予想され、都道府県ごとに受験人数分の会場を確保できなかった場合は12月27日に追加試験をすると発表している。

 県内の試験協力機関である県宅地建物取引業協会の担当者は「現段階では10月に実施する予定だが、感染の状況次第では延期や中止も選択肢に入れないとならないだろう。ただ、国家資格なので、県協会単独では判断できない」と話した。

(玉城江梨子、沖田有吾)

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