牛血統矛盾防止へ手引書 県・JAなど 手順、確認事項明文化


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 久米島町の家畜人工授精師が繁殖を手掛けた牛で血統不一致が相次いでいる問題を受けて、県やJAおきなわなどでつくる県家畜人工授精適正化会議(会長・久保田一史県畜産課長)はこのほど、再発防止策の一環として家畜人工授精業務の手順を示したマニュアルを完成させた。家畜人工授精師と生産者が取り組むべき手順や確認事項を記述した要綱で、明文化は初めて。県は今後、家畜人工授精師や生産者にマニュアルを配布する。

 久米島の家畜人工授精師が種付けした牛について県が行っているDNA検査は8月3日時点で、550頭中56頭で父牛とされる牛との血統不一致が判明している。10頭に1頭の割合で不一致が出ている。残り17頭が検査中。

 県によると久米島の家畜人工授精師は、牛の1回の発情期に複数回種付けをするなど、間違った手順で授精業務を行っていた。新たに策定したマニュアルでは、家畜人工授精師は牛の発情が初回発情か再発情かを確認した上で授精を行うことや、同一発情期に授精する場合には同じ精液を使うことを記した。

 血統不一致は子牛の取り違えから起こることもあり、生産者に対しても細心の注意を求める。牛の個体識別耳標と登録書の個体識別番号が合っているかを、家畜人工授精師と生産者の双方で一緒に確認するよう示した。

 県が県内の全家畜人工授精師294人を対象に実施した立ち入り検査では、ほとんどの授精師が適正な人工授精業務を行っていた。一方で、一部の授精師で書類の記入漏れがあったほか、免許を紛失した授精師が15人いた。県と県家畜改良協会は今後、毎年160人の家畜人工授精師を抜き打ちで立ち入り調査する。