「苦渋の決断」浦添市長 公約果たせず 那覇軍港の移設受け入れ


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互いに一礼した後、会見場を離れる(右から)玉城デニー知事、松本哲治浦添市長、城間幹子那覇市長=18日午後5時ごろ、県庁

 「苦渋の決断だ」。米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設を巡り、軍港代替施設の北側配置案受け入れを表明した松本哲治浦添市長は、繰り返し強調した。玉城デニー知事、城間幹子那覇市長との3者会談の後、3人並んで約20分間、記者の質問に答えたが、松本市長はほぼ直立不動のまま硬い表情を崩さなかった。

 松本市長は「県、那覇市、浦添市とでしっかりと足並みをそろえ、大きな一歩を踏み出すための北側案受け入れと決断だ」と3者の連携について度々言及した。しかし冒頭に玉城知事から発言を促された松本市長が2人に会釈した場面以外、3人は前を向いたままで目線が合うことはなかった。玉城知事が「大変重い判断をなされた」とねぎらう場面もあったが、松本市長はじっと前を向いたまま表情を変えなかった。

 2期目の市長選で南側案を掲げて再選を果たしながら、公約を翻して北側案を受け入れたことを問われると、目を閉じて数秒間の沈黙の後「断腸の思いだが浦添市が決断することで、県や那覇市の発展に大きく貢献するだろうと考えている。浦添市民、特に有権者にはしっかりと説明して、ご理解いただきたい」と答えた。

 記者への対応を終えた後も、3人は緊張感を漂わせたまま、互いに一礼を交わし足早に立ち去った。