血液のがん1日で診断 琉大が新手法、一般病院でも検査可能


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成人T細胞白血病・リンパ腫の原因ウイルスが生成する物質に着色し、顕微鏡で見た画像。茶色い点がウイルス感染を示している(琉球大学提供)

 琉球大学は18日、九州・沖縄に患者が多い血液のがん「成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)」を迅速かつ正確に診断できるアルゴリズム(手順)を開発したと発表した。原因ウイルスが生成する物質を染色して顕微鏡で直接見る技術とPCR検査を組み合わせることで、ATLL患者とそうでない人を100%区別できるという。施設が整っていない病院でも日常的に実施でき、病気の早期発見、治療につながることが期待される。

 ATLLは他のリンパ系腫瘍と比べ生存割合が低く、早期の診断が重要になる。従来の診断は血液や皮膚、リンパ節の検体を使う「サザンブロット法」が用いられていた。この方法は腐食を防止するためホルマリン保存した検体だと診断できず、一般的な病院の検査室では実施できない。採取した検体をバイク便で検査機関に送るなどの手間があり、検査自体の手順も時間がかかるため、結果が出るまで3日から1週間程度を要していた。

 新しい手法ではホルマリン保存した組織でも診断でき、一般的な病院でも日常的に実施できる。検査時間も1日と短くなった。

 新しい手法は琉大大学院医学研究科細胞病理学講座の加留部謙之輔教授や大学院生の髙鳥光徳さんらが開発し、論文を発表した。研究には県内各地の病院から検体を集めるバイオバンクのネットワークを活用した。大学の研究費の他に沖縄ライフサイエンスプロジェクトの研究助成を受けた。