那覇軍港移設、県議会与党で賛否「無条件返還を」「新基地建設ではない」


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 那覇軍港の浦添市への移設を巡り、松本哲治浦添市長が県と那覇市が推す「北側案」の受け入れを表明し、移設に向けた3者の足並みがそろったことについて、野党自民や中立会派の公明、無所属の会からは軍港移設による「西海岸の発展」を期待する声が上がった。与党は、共産や社民などが改めて移設反対の態度を鮮明にした一方、移設容認の声も出るなど賛否が分かれている。

 与党最大会派の沖縄・平和の仲村未央代表は「遊休化した軍港が移設によって機能強化されることは間違いない。民港機能への支障も懸念される。基地の固定化には反対であり無条件返還を求める」と述べ、反対の意思を鮮明にした。

 共産党県議団の渡久地修団長は「移設に断固反対であり、普天間と同様に那覇軍港も無条件に即時閉鎖撤去すべきだ。移設反対の民意は着実に広がっており、分断を持ち込む政府の対応に憤りを感じる」と、政府の対応を強く批判した。

 会派内で意見が割れているてぃーだネットの瑞慶覧功代表は「素晴らしい海岸の前に軍港を造ることは時代に逆行している。ただ、会派内には容認せざるを得ない議員もおり、移設協議会での協議を見守りたい」と慎重姿勢を示す。

 与党内で唯一、移設容認の立場を取るおきなわの平良昭一代表は「3者が同じ方向性になったことは大きな前進だ。軍港移設は辺野古移設と対比できるものではなく、翁長雄志前知事が主張していたように新基地建設でもない」と語った。

 野党沖縄・自民の島袋大代表は「松本市長の苦渋の決断を高く評価したい。松本市長の決断により、県経済の発展と嘉手納以南の米軍施設返還、跡地利用に弾みが付くことを期待したい」と、松本市長の対応を歓迎した。

 公明党の上原章幹事長は「返還合意から半世紀近くたつ中、隔たりがあった3者が事実上合意したことを評価したい。互いの立場を超えた大きな決断だ。軍港返還により那覇港湾の物流拠点としての可能性が広がる」と語った。

 無所属の会の當間盛夫代表は「協議が停滞していたのは沖縄経済にとってもマイナスだった。時間はかかったが、3者の足並みがそろったことを評価したい。軍港移設は県経済にとっても非常にプラスに働く」と述べた。