沖縄球児4人、鹿児島大会で優勝の立役者 夢の「甲子園」中止から奮起


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高校野球の鹿児島独自大会で優勝を果たした神村学園の(左から)那根碧、渡邊翔也、小浜幹太、仲里翔晴=鹿児島市の平和リース球場(那根智さん提供)

 夏の甲子園地方大会に代わり、7月末まで開催された鹿児島県夏季大会では神村学園が優勝を決めた。沖縄出身球児の活躍が躍進の原動力となった。

 鹿児島県夏季大会は全県65チームを7ブロックの地区予選で代表校を決め、決勝トーナメントには16校が進出した。神村学園は順調に勝ち進み、7月29日、鹿児島市の平和リース球場で行われた決勝で国分中央と対戦。二回表に2点を先制後、三回にすぐに追い付かれる。主将を中心に全員が集まり「テッペン目指して頑張ろう」と気持ちを一つにして気合いを入れ直すと、その裏の攻撃で一挙4点を挙げるなどし、12―2の大差で優勝を果たした。

 決勝に出場したのは一塁手の那根碧(金城中出)、三塁手の渡邊翔也(石垣中出)、二塁手の小浜幹太(嘉数中出)、投手の仲里翔晴(小禄中出)。追い付かれたあとの攻撃では那根と小浜が二塁打を放つなどして貢献。仲里は4番手でマウンドに上がり、反撃を許さなかった。

 神村学園は2005年の選抜大会準優勝の県下の強豪。2年前、甲子園を夢見て沖縄から進学し、親元を離れての寮生活で支え合いつつ、鍛え上げてきた。その最後の夏、夢の甲子園は地方大会を含めて中止に。那根らも一時は目標を失い、落ち込んでいたが、代替大会の開催が決まって新たな目標に向かい奮起した。

 優勝を決めて那根は「甲子園はなくなったけど優勝できてうれしかった」、渡邊は「遠い沖縄から来てこういう形で終えることができて幸せ」、小浜は「甲子園がなくなり気持ち的にへこんだけど、最後は県大会で優勝という形で終えられたこと、親元離れて人としても成長できた。良い経験ができたと思う」、仲里は「これから先の野球人生でも成長できるように頑張る」とそれぞれ語った。

 帰省し、大会を振り返った那根は「甲子園大会の中止で目標がなくなり3年生のほとんどが落ち込んでいた。関係者のおかげで県大会が実現できた。感謝の気持ちを忘れずに必ず頂点に立つという気持ちで新たな目標に向かって頑張った結果、優勝できた」と話した。 
(喜屋武幸弘通信員)