人口6000人に患者40人超、宜野座村の苦闘 独自検査や買い物代行…それでもデマや中傷


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宜野座村公式ラインに當眞淳村長が掲載したメッセージ。不確かな情報に惑わされないことなどを村民に呼び掛けている

 【宜野座】人口約6千人の沖縄県宜野座村で、新型コロナウイルス感染者が8月に入って累計40人以上になっている。村内の保育所と病院では感染者集団(クラスター)が発生した。村は独自のPCR検査を実施、濃厚接触者や家族の支援にも乗り出す。情報発信も強化し、村民の不安の払拭(ふっしょく)や感染対策に力を注ぐ。

 「ついに来たか」。8月上旬、保育所に子どもを通わせる保護者の一人は、保健所からの電話で保育所職員の感染を知った。子どもたちは症状もなく元気に自宅で過ごしていた。その様子を見ながら「大丈夫かな」と思う半面、「もしかしたら」と感染の不安もよぎった。この保育所では8月に入り、職員や園児の発熱症状が相次いだ。村は園児や保護者を対象にPCR検査を実施した。この保護者も親子で検査を受け、結果は陰性だった。

 村は感染者や濃厚接触者として、自宅待機している人の買い物代行など生活支援を実施する。感染拡大防止策として、村が借り上げた宿泊施設に濃厚接触者などを一定期間、宿泊してもらう事業も調整中だ。村の担当者は「症状が回復した村民も出てきている。感染予防や生活支援に取り組みたい」と説明する。

 同村のかんな病院では職員・患者ら20人以上が感染した。同病院はホームページ上で状況を公表しており「県と連携し、病棟内の感染コントロールに取り組んでいる」と説明する。県外から応援の医療関係者も入っており、病院担当者は「ナースも疲労困憊(こんぱい)で、応援は助かる」と語る。

 村内では感染者を特定しようとしたり、感染していない人が「感染者だ」とうわさが立ったりする状況も起きている。かんな病院は利用者を送迎するバスの停車中に、地域住民から「ここに止めるな」などと声を掛けられたという。村立保育所の保護者は「(保育所で)『誰が感染したの』と聞かれることもある」と話す。

 村は感染者情報などをホームページや公式LINEで発信している。當眞淳村長は、ネット上に公開した17日付のメッセージで「宜野座村は今が踏ん張りどころだ。この困難を乗り越えるべく、全力で対策を講じていく」と訴えた。
 (塚崎昇平)