ジーマミを新たな伊江島ブランドに 農業と福祉連携、中村さんが名産落花生の生産に熱


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 【伊江】昨年7月に伊江村の「地域おこし協力隊」初代隊員として着任した千葉県出身の中村慎吾さん(36)が、名産の落花生(伊江島方言・ジーマミ)の生産振興に奮闘中だ。

中村慎吾さん

 中村さんは神奈川県のコンサルタント会社で働いていた3年前、村の落花生の生産振興に関する調査業務を受託した。島を行き来して島の魅力や地元の人の愛着に触れ、移住を決めた。

 村では2月末から3月ごろに落花生を植え付け、8月に収穫の最盛期を迎える。

 落花生は島の気候や土壌に合い、昔は多く作られていたが、暑い中での重労働で、生産量は減少傾向にある。中村さんは生産者、加工業者、そして福祉作業所の連携を推進しようと、農家から引き取った収穫後の落花生について、莢(さや)もぎや殻割りなどを福祉作業所が請け負う取り組みを試験的に始めた。

 伊江村社会福祉協議会(友寄祐吉会長)内の「ぴゅあいいじま共同作業所」で17日、所員ら10人が初めて落花生の莢もぎを行った。今回は村で試験栽培された落花生が持ち込まれ、友寄会長や島田勝雄事務局長らも加わり、和気あいあいとした雰囲気で作業が行われた。島田事務局長は「さまざまな作業や経験を行うことで所員にも楽しみが広がる」と期待する。

落花生の莢もぎ作業を行うぴゅあいいじま共同作業所の所員ら=17日、伊江村川平の伊江村社会福祉協議会

 収穫された落花生は、次回の種として村内の農家に配布するものと、村内の事業者が使う菓子加工用や新商品の試作用とに選別する。

 中村さんは「農家の負担軽減と生産量の増加のため機械化を図りたい。一方で、ほとんどの村民が幼い頃から親の手伝いなどで莢もぎや殻割りを経験しているのも島の魅力。農福連携でその技術を生かし、落花生の新たなブランド化につなげたい」と2年目の挑戦に挑む。

(金城幸人通信員)