伝わる故郷への思い 参加者の来県サポート<つなぐ島の心(中)>


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「県系人の故郷に対する強い思いに感動した」と語る与那城昭広さん=14日、那覇市泉崎

 「世界のウチナーンチュがやってきた」をキャッチフレーズに、海外から約2400人が参加した1990年の第1回世界のウチナーンチュ大会。沖縄ブラジルネットワークアミーゴ会の与那城昭広会長(77)=南風原町=は当時から現在まで、主に南米の県系人参加者の宿泊先や通訳の手配などを担ってきた。 ブラジルのヴァリグ・ブラジル航空の沖縄駐在員として働いていたことをきっかけに、第1回大会に南米から参加する県系人をサポートすることになった。参加者の中には開催約1、2カ月前から沖縄を訪れる人もおり「親戚の家にゆっくり滞在し、県民と交流を深めていた」と振り返る。

 参加者は当時800ドルほどの旅費を、積み立てや借金をしながら工面していたという。「長い時間をかけ、高い旅費を自費で支払ってでも沖縄を訪れたかったのだろう。県系人たちの故郷に対する強い思いが伝わってきた」と語る。

 これまで50年以上、ブラジルの県系人らと交流を続けてきた。2012年には交流を一層発展させる活動や次世代のリーダー育成を目指し、沖縄ブラジルネットワークアミーゴ会を発足した。18年には1908年に県民がブラジルに渡ってから110年となった。

 来年10月に開催予定の第7回大会に向け、与那城会長の元には、既に海外の参加希望者から宿泊先の申し込みや問い合わせが寄せられている。沖縄で生まれ海外へ渡った1世の参加者が多かった第1回大会から、回を追うごとに、移住地で生まれ育った2世以降の参加者が増えてきた。

 「県系人だけでなく、ルーツはないが沖縄に関心を寄せる人たちも魅力を感じる大会企画を打ち出す必要がある」と今後の展望を見据えた。(吉田早希)