沖縄初のプロ棋士へ一歩 中学1年の辺土名さん、奨励会に合格 「目標は藤井聡太先生」


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奨励会合格を決めた辺土名朝陽さん=22日、東京都渋谷区の東京・将棋会館(提供)

 19日から21日にかけて東京と大阪の将棋会館で、日本将棋連盟のプロ棋士養成機関「新進棋士奨励会」の入会試験が行われ、那覇市の辺土名朝陽さん(安岡中1年)が合格を決めた。沖縄から5年ぶり4人目の奨励会員となる辺土名さんは入会後、6級からスタートし、月2回行われる例会で規定の勝ち星を挙げると昇級する。四段になればプロ棋士デビューとなり、沖縄から初のプロ棋士を目指す。

 辺土名さんは小学2年生から豊田塾宜野湾将棋道場に通い、5年生になると一般の大会でも優勝するなど目覚ましい成長を遂げた。現在はアマ五段の実力を誇る。辺土名さんは「今回こそはと思っていたので合格はうれしい。藤井聡太先生の将棋が好きで目標にしている。多くの方の応援に支えられたので、期待に応えられるよう努力したい」と先を見据えた。
 父親の朝啓さんは「プロになるのが目的だ。県内でいろんな方にお世話になったので恩返しができれば」と話した。

 同道場の師範で指導対局を長く務めた、県内アマ第一人者の禰保拓也さんは「道場で楽しそうに指していたのでその姿勢を大事に、プロになってほしい」と語り、さらなる成長を願った。同道場の照屋彰代表は「道場から初めて奨励会員を出すところまできた。年齢を問わず、親切に教えることができる人間性を備えている。これからは自分を高めることにもまい進してもらいたい」と期待を込めた。

 師匠の高田尚平七段は「四段になるまでおめでとうは言わないつもり。奨励会は厳しい世界だ。すべての面で伸びてもらいたい」と願う。日本将棋連盟沖縄県支部連合会の宮城政則会長は「これまで3人がプロ棋士を目指したが、厚い壁に阻まれてきた。辺土名さんは突破できると信じている。沖縄の将棋ファンの夢であるプロ棋士に一日でも早くなれることを期待している」と話した。(来間信也)