石垣陸自配備 住民投票訴訟きょう判決 若い世代の思い実現を 工事進行も投票「諦めない」


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住民投票の運動の意義などについて語る渡久山修さん=22日、石垣市

 石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票について、市に対して住民投票の実施を命じるよう求める義務付け訴訟の判決が27日午前11時半に那覇地裁で言い渡される。島の未来を自ら決めようという若い世代の思いが広がり、住民投票への動きにつながった。市内有権者の4割近い1万4263筆が求めた住民投票実施や自治について、司法がどのような判断を下すかに注目が集まる。

 【石垣】石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の実施に向けた活動は、島の若い世代が原動力となった。2018年10月31日から署名を集め、1カ月間で有権者の約4割に当たる1万4263筆を集めた。若者たちの動きに希望を見いだし、活動に加わった市民もいる。元高校教員の渡久山修さん(63)もその1人で、市住民投票を求める会の副代表だ。渡久山さんは「住民投票を諦めない」と強調し、27日の判決を原告席で迎える。

 高校教員を30年以上勤めた。専門教科は電気。技術の発展と切り離せない戦争について考えを巡らせてきた。「技術は権力の勢力拡大のためではなく、人の幸せのために発展させてほしい」。生徒にそう伝えてきた。自身は陸自配備に反対する。

 署名活動後の住民投票条例案を審議した市議会の議場では、「反対派が反対を訴えるための活動だ」との言葉も飛んだ。署名を集めてきた渡久山さんは「賛成の人でも『はっきりさせよう』と署名する人もいた。自分の気持ちを表明する機会がほしかったんだろう」と実感していた。それだけに、「反対派の活動」との言葉に対してはレッテル貼りだと異議を唱える。

石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票実施を求める市民の署名を市選挙管理管理委員会に提出する渡久山修さん(右から2人目)=2018年12月4日、石垣市役所

 2019年2月1日、住民投票条例案の否決を市議会傍聴席で見詰めた。27日の判決では那覇地裁の原告席に座る。「辺野古の裁判を見ても住民に有利な判決を出してくれるのか。(勝算は)五分五分か」と不安と期待が交錯する。

 駐屯地建設工事が進むが、それでも住民投票の実施を求める思いは強い。「若者たちが島の未来は自分たちで決めようと、自らも楽しみながら住民投票に向けた運動に取り組んだ。その活動は新しい形として多くの島民を巻き込んだ。今回、住民投票を実施できなければ若い世代の思いをたたきつぶすことだ。そうならないよう願う」と語った。 (大嶺雅俊)