異色の30歳、OISTと地域つなぐ「スペシャリスト」に就任 最先端の研究を発信


社会
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「沖縄の中のOISTにしたい」と語る下地邦拓さん=25日、恩納村谷茶の沖縄科学技術大学院大学

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)が持つ情報を発信し、最先端の研究を地域に役立ててもらうため、沖縄市出身の下地邦拓さん(30)がこのほど、OISTの「戦略リレーションシップスペシャリスト」に就任した。米シンクタンクや外資系コンサルなどでグローバルに活躍した異色の若者が、OISTと地域、企業をつなぐ懸け橋の役割を果たす。

 下地さんは沖縄尚学高校を卒業後、米ミネソタ州のセントジョーンズ大学に入学し国際関係を学んだ。その後、ワシントンのシンクタンクで日米関係や安全保障を担当したほか、コンサルティングファームの「ビッグ4」と称されるPwCなどに勤めた。

 これまでは県外組織の一員として沖縄の米軍基地問題や下地島の開発計画などに関わってきたが、今後は沖縄に身を置いて振興に貢献する。

 県外で沖縄に関心を寄せる県出身者が多い中、OISTに招聘(しょうへい)された自身を「ラッキーな若者の一人」と表現する。

 OISTの現状については「ポテンシャルは高いのに生かし切れていない」と手厳しい。目指すのはOISTだけが成果を上げるのではなく、沖縄の一員として地域に頼られ、真に生かされる「沖縄の中のOIST」だ。「OISTを使うことで沖縄がどう良くなるのか、どう生活が変わるのかイメージできるようにしたい」と強調する。

 そのために、OISTの可能性を理解し、活用する人々「オイスター」を増やしたいと考えている。「オイスター(貝のカキ)の中に真珠がある」と冗談っぽく笑う。

 OIST外の活動でも、沖縄の将来を考える若手の勉強会を開くなど、人脈の拡大にも積極的だ。「関心のある人全員に会いたい」とOIST内外を巻き込む意欲を示した。