日本相撲協会は27日、沖縄県勢で西十両11枚目の木崎海(25)(美里小―鳥取市立西中―鳥取城北高―日大出、木瀬部屋)が24日に引退届を提出し、受理したと発表した。本名は木崎伸之助。師匠の木瀬親方(元幕内肥後ノ海)によると首の故障で現役続行が困難と判断したという。同部屋の十両、兄・美ノ海(具志川中―鳥取市立西中―鳥取城北高―日大出)と共に兄弟関取として活躍していた。
「これからだった」沖縄の関係者ら衝撃とねぎらい
うるま市出身の関取、木崎海(25)の突然の引退発表に、県内の関係者からは一様に衝撃の声が広がった。県出身としては初めて、兄・美ノ海(27)と兄弟関取として活躍していただけに残念がる声があった一方、「今後も応援したい」と功績をねぎらう声も上がった。
県相撲連盟で副理事長を務め、幼少期に指導した叔父の木崎智久さんは「残念でならない」と落胆する一方で、7月名古屋場所での戦いぶりを見て「力がふっと抜けるような感じがあった」と違和感を覚えていたという。首の故障は命を脅かす危険性があるだけに、重い決断に理解を示す。「本人が一番悔しがっていると思う。兄弟で楽しませてくれて、まずはお疲れさまと言いたい。弟の分まで、兄が頑張ってほしい」と語った。
県相撲連盟の和宇慶勝則会長は突然の一報に驚きを隠せない様子で「詳細な引退理由も分からない。日本相撲協会からの正式な発表を待ちたい」と言葉少なに語った。
「これからという時期だったのでまだ信じられない」と語るのは、小学校時代に木崎海を指導した小濱寿さん(中部農林高相撲部監督)だ。木崎海を知る関係者へ詳細を確認しようと連絡に追われていた。木崎海の本名から「しんの」と呼ぶ間柄だ。場所前には、SNSで「頑張れよ」との声掛けに「ありがとうございます、と返してくれる真面目な子。実直な性格が取り組みにも出ていた」と、どんな相手にも小細工をせず真っすぐに攻める姿勢を評価していた。沖縄という地から、十両に昇進し兄弟で励む姿は「県内の角界を目指す子どもたちの目標だった」と声を和らげる。引退には驚きを隠さないが「彼が決めたことなので、今後どこに行こうと応援したい」と引き続き応援していくことを力強く語った。
<木崎海略歴>
木崎海(きざきうみ) 本名・木崎伸之助(きざき・しんのすけ)。鳥取城北高で高校横綱に輝き、日大4年時には全日本選手権3位。2018年春場所に三段目100枚目格付け出しでデビュー。得意技は押し。19年名古屋場所で県勢6人目となる新十両に昇進。同年の秋場所、九州場所は勝ち越したが、今年の初場所6日目の勢戦で頭から土俵下に落ち、首を負傷した。14場所に出場し生涯戦歴は82勝64敗。174センチ、153キロ、うるま市出身。