沖縄経済界、安倍政権の観光振興策に評価 消費増税は「失策」指摘も


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 安倍晋三首相の辞意表明を県内経済団体は驚きをもって受け止めた。観光政策、沖縄振興を評価する声の一方で、消費増税への厳しい意見もあった。

 安倍氏の辞任表明を受け、県経済団体会議の石嶺伝一郎議長は「日本経済の再生や外交などに大きな功績を残すとともに、沖縄振興に対して多大なご支援をいただいた」と感謝を示した。政府には「先行きが見通せないこの大変厳しい時期、引き続き、新型コロナへの対応および経済の立て直しなどに万全を期していただきたい」と望んだ。

 県経営者協会の金城克也会長は「2800日あまり国および沖縄県発展のために尽力いただいた。沖縄県はコロナ感染収束後の経済回復、2年後にスタートする次期振興計画を策定する重要な時期だ。次期首相にも、県経済成長のためご尽力をいただきたい」とコメントを発表した。

 県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は「長期にわたり安定した政権運営がなされていたことは、それだけで価値がある。外国人観光客増加は観光立県の沖縄へ恩恵があった」と評価した。その上で「消費増税は失策だった。中小企業は税を価格に転嫁できず厳しい。増税により可処分所得が減ったため、一般の人も景気の良さを実感できなかった」とくぎを刺した。

 県建設業協会の津波達也会長も「観光立国を目指した政策がとても良かった。公共投資が横ばいの中で、沖縄は観光の力強い需要を受けて民需がとても盛んになった」と評価した。次期首相に対しては「次期振興計画をしっかり作成してほしい」と望んだ。

 JA沖縄中央会の大城勉会長は「新型コロナ感染の収束の見えない中での辞任は大変残念」と語り、「次期首相には、生産者が安心して営農活動を継続していけるよう引き続き支援をお願いしたい。農業生産基盤の強化と、食糧安全保障を主軸にした政策の実現を望みたい」と求めた。