<記者解説>なぜ直前?県の非常事態再延長 検証が必要


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県の緊急事態宣言を9月5日まで再延長することを発表する玉城デニー知事=28日午後、県庁

 玉城デニー知事が、新型コロナウイルス感染拡大を抑えるための独自の緊急事態宣言を再延長したのは、世代間の交流が増える旧盆を直前に控え、重症化リスクの高い高齢者への感染を防ぎ、逼迫(ひっぱく)した医療体制を改善したいからだ。

 県内では7月下旬から新規感染が拡大している。県外からの移入例や持ち帰り例に始まり、会食や家族内感染と感染経路は急速に広がり、夜の繁華街や医療機関、福祉施設などでクラスター(感染者集団)の発生も相次いでいる。当初は無症状や軽症の若年層が中心だったが、死亡リスクの高い高齢者にも広がり、8月だけで19人が死亡した。

 県は7月31日、8月1~15日までの独自の緊急事態宣言を出し、13日には29日までの延長を発表した。当初から旧盆期間は人の往来が増え、感染リスクが高まることは予想されていたはずだが、結果的には今回の再延長まで決断を先延ばしした。

 玉城知事は「最終の警戒監視期間としたい」と、これ以上の期間延長はないとの考えを示した。県民の命や暮らし、医療体制を守るには、感染拡大が始まった、より早期の決断が必要だったのではないか。宣言を出すタイミングやその期間などが適切だったか、「第3波」に向けた教訓にするためにも検証が必要だ。

(座波幸代)