沖縄平和賞・JANIC「共に生きる大河の一滴に」 87年設立、人間の安全保障実現へ貢献


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 第10回沖縄平和賞を受賞したNPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)は、社会課題の解決に取り組む国内の国際協力NGOの連携を深める役割を担ってきた。理事長の本木恵介さん(38)は「JANICの使命は、平和を願う市民の力を解き放ち、共に生きる社会をつくっていくことだ。平和を実現する『大河の一滴』となり頑張っていきたい」と決意を語った。

NGOや企業、国際機関などが参加するJANIC主催のイベント「HAPIC」。社会課題解決に向けて議論する場となっている(JANIC提供)

 日本の国際協力NGOは400以上あるといわれるが、その多くは規模が小さく人材や資金確保などに課題を抱える。1987年から活動するJANICは、NGO間に始まり政府や企業、自治体などとの連携を進め、社会課題の解決促進を目指す。

 主に(1)持続可能な開発目標(SDGs)などに関する政策提言・啓発(2)企業や自治体などとの連携促進(3)NGOの組織力強化(4)海外NGOや国際機関などの国内窓口活動―の四つの活動に力を注ぐ。

 設立から33年を迎える現在、会員のNGOは90を超える国と地域で活動を展開する。本木さんは今回の受賞を「平和という言葉の重みを語り継ぐ沖縄の方々から認められたことに感銘を受けている」と喜んだ。


【受賞理由】国内外で後方支援 市民社会成熟に寄与

 NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)は、日本の国際協力NGO発展の時代といわれたさなかの1987年、NGO間の情報共有と社会への発信力強化のためネットワーク組織「NGO活動推進センター」として設立された。アジア太平洋地域での紛争や貧困、環境破壊などの社会課題の解決に取り組むNGOの後方支援を行う。国内外の多岐にわたる団体と団体、市民と市民をつなぎ、市民社会の成熟のために重要な役割を担っている。

 NGOの能力強化、政策提言、政府との交渉など、国際協力NGOセクター全体の調整・仲介を通じ、NGOや市民社会がより真価を発揮するためのインフラストラクチャーを形成する上での貢献は多大なものだ。

 JANICは「NGOの力を最大化する」をスローガンとして掲げ、ネットワーク力を活用し、アジアを中心として地球規模の貧因や環境問題に取り組む日本のNGOの活動を長年にわたって支えた。世界の平和と人間の安全保障の実現に貢献してきた功績があり、沖縄平和賞委員会は、賞の理念に合致し顕彰に最もふさわしいものと評価して、第10回沖縄平和賞受賞者に決定した。