「警報級」対策追われる 台風9号 旧盆直撃、買いだめも


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
台風の接近に備えて船体をロープで固定する漁業関係者=30日午前10時すぎ、糸満漁港(大城直也撮影)

 強い台風9号が沖縄地方に接近していることを受けて、各地では30日、漁業や農業関係者などが暴風対策に追われた。今後は警報級の大雨と高潮で大荒れが予想される。30日は晴れ間が広がる午前中に作業を終えるなど、早めに台風対応を行う様子が見られた。台風に備え、地域住民らが近くのスーパーに買い出しに向かう姿もあった。

 宮古島市では各漁港で漁師らが漁船を陸揚げし、ロープで固定した。市街地にあるホテルでは朝から従業員の男性が窓ガラスに防護ネットを張り巡らせた。男性は「今回はかなりの風速があるということなので念には念を入れて備えたい。無事に過ぎてほしい」と願った。
 台風8号による大雨で崩落したうるま市栄野比の道路改良工事現場では、盛り土をした部分をブルーシートで覆うなど台風対策が進められた。
 南大東島のサトウキビ農家、大城盛明さん(62)は道路沿いのサトウキビを縄で縛り、肥料袋を倉庫に片付けた。「島が小さく島内全域が波のしぶきを受ける。潮害が心配だが、こればかりは防ぎようがない」と語った。
 豊見城市瀬長のトラベルレンタカー那覇空港店では30日までに、車両返却場などにあるテントの屋根を業者に頼んで外し、台風に備えた。川畑克之副店長は新型コロナウイルスの感染が広がる中での台風接近に「たまったもんじゃない」と頭を抱える。「既にキャンセルが出始めている。31日からはもっと増えるだろう」と懸念した。
 本部町の本部港では、港管理事務所の職員がフェリーターミナル近くのゲート2カ所に高波の浸入を防ぐ大型ブロックを設置し、ターミナルの窓をベニヤ板で保護するなどの対策を取った。過去の台風では、高波がターミナル内の事務所まで浸入し事務機器などが被害を受けた。職員の男性は「台風の進路がそれるといいのだが」と心配そうに話した。
 沖縄市のマックスバリュ高原店では午後3時すぎ、多くの買い物客が訪れて駐車場が混雑した。30代の女性は「お盆もあるが、非常に大型の台風と聞いたので、それどころではなくなりそう」と話し、大量の食品を車に積んだ。