総合事務局工事 39%県外へ 19年度で146億円超 11~19年度 45%1951億円超


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 沖縄総合事務局が2019年度に企業に発注した公共工事の契約額約372億580万円のうち、約39%を占める146億1300万円は県外企業が受注したことが31日、分かった。宮田裕沖縄大・沖縄国際大特別研究員が沖縄総合事務局から統計を得て明らかにした。

 宮田氏によると、11~19年度の契約額総計約4379億7500万円のうち、約45%に当たる1951億4600万円が県外企業に流れた。

 宮田氏は、仮に県内企業が100%受注した場合と比べ、県内生産誘発額は4492億円損失したとし、これに伴い約2万5千人分の雇用も失われたと試算した。

 沖縄総合事務局は沖縄振興特別措置法(沖振法)に基づき設置された国の総合的な出先機関。沖振法は国の責任で沖縄振興に取り組むことを求めている。

 19年度の国直轄公共事業費は今年3月に供用開始となった那覇空港第2滑走路増設事業(総事業費2074億円)が完了したことで、18年度と比べて大幅減となった。沖縄の日本復帰から5次に渡って実施されてきた沖縄振興計画は21年度末で終了する。

 県は22年度以降の沖振法や、各種税制優遇措置の延長を求めて、近く国へ要請する。

 宮田氏は「地域開発立法で作った沖縄振興事業費が県内で循環しない構造的問題がある。いわゆるザル経済だ」と指摘する。

 「今後、政府の財政事情から考えても沖縄への財政支出は落ち込みが予想される」と述べ、新たな主要プロジェクトを発掘し、財政の落ち込みを食い止めることを課題に挙げた。その上で「自立的発展を支える産業基盤整備へ全力投球が必要だ」と述べた。

(梅田正覚)