結果出ず、我慢続く 持ち味定着、底上げに手応え


結果出ず、我慢続く 持ち味定着、底上げに手応え
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 サッカーJ2は全日程の3分の1を終え、FC琉球は3勝7敗5分けで18位につけている。初勝利は第9節だった。開幕4連勝など、好調だった昨季のJ2初年度と比べると、苦しんでいる印象は否めない。しかし、持ち味であるパスをつなぐポゼッションサッカーはできてはいる。目指すスタイルが定着し、コンスタントな勝利へと結実するまで我慢が続いている状況だ。 (古川峻)

■夏の連戦、乗り越える

 「夏場の連戦をどう乗り切るか未知の世界だ。総力戦になる」。リーグ再開前から樋口靖洋監督が口にしていた懸念が現実になった。コロナで延期となった第2節以降の41試合を消化するため、1週間に3試合といった過密日程が組まれた。連戦の疲労がたまる中で3人がけがで離脱。コロナ感染も2人出て、少ないメンバーで挑まざるを得なかった。

 樋口監督は選手のコンディションを見極めて大胆な起用を続けた。MFの山口和樹や小泉佳穂を不足したボランチで活用。MF田中恵太と右サイドバック鳥養祐矢の位置を交換し、MF風間宏矢をFWに回すなど幅広いポジションをこなすように求めた。

 さらに城西国際大4年の上原牧人をDFやMFでの起用したり、ユースをベンチ入りさせたりと若手も取り入れた。夏の連戦をチーム一丸で乗り切り、逆境の中で思わぬ収穫もあった。樋口監督は「選手は責任感を持ってタフな試合をしてくれた。連戦はチーム全体の底上げにつながった」と一定の手応えを語った。

■守備、攻撃の課題

 第3節の北九州戦でポゼッションサッカーができずに0―4で大敗した後、位置取りを修正してからは負けや引き分けでも見応えのある試合が続いた。攻撃的サッカーを貫いて第9節の岡山戦で初勝利。自信を深めてはいる。しかし課題はまだ残っている。

 守備では昨季の80失点を4割減らす目標を掲げているが、15節を終えて27失点。同じような状況が続けば目標達成は困難だ。北九州戦以外の4失点を喫した2試合は「自滅」とも言える内容だった。一瞬の判断ミスや守備の緩みが命取りになった。

 1―4で敗れた山形戦は攻撃面の課題も浮き彫りにした。琉球らしくボールを支配し、豊富なバリエーションで敵陣まで攻め込んだが、ゴール前で受ける選手がいなかった。シュート数も決定機も相手より多かったが、最後の詰めに課題を残した。

 暑さがピークを迎える過酷な夏場は越えようとしている。昨季は7、8月に連敗が続いたが、終盤で修正し、J2残留を決めた。今季は樋口監督の2年目でもある。課題を再び修正して勢いに火が付けば上位へ食い込むチャンスはある。