自民総裁選3候補と沖縄 菅氏、辺野古が「唯一の解決策」 岸田氏、辺野古埋め立て「大きな意義」 石破氏、「辺野古唯一」に疑義


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 【東京】辞任を表明した安倍晋三首相の後継者を選ぶ自民党総裁選は2日までに、石破茂元幹事長と岸田文雄政調会長、菅義偉官房長官の3氏が出馬を表明したことで三つどもえの構図が固まった。3氏の沖縄との関わりをまとめた。

<菅氏>沖縄振興策に影響力

 菅氏は安倍内閣で沖縄基地負担軽減担当も官房長官と兼務し、名護市辺野古の新基地建設や米軍北部訓練場の返還など、安倍晋三首相に代わって沖縄施策を推し進めてきた。米軍普天間飛行場移設では「辺野古が唯一の解決策」を繰り返し、選挙や県民投票で何度も示されている「新基地ノー」の民意を無視する形で作業を強行している。

 沖縄担当相所管の内閣府の沖縄担当部局にもにらみをきかせ、焼失した首里城の再建も国が主導した。沖縄関係予算は「長官案件」として扱われ、沖縄側からの要請を一手に引き受け沖縄振興面でも影響力をもってきた。仲井真弘多元知事とは対話を続けたが、辺野古新基地に反対した翁長雄志前知事とは激しく対立した。辺野古移設を巡る訴訟では「わが国は法治国家だ」と繰り返し、沖縄側の対応をけん制した。

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<岸田氏>沖縄相、外相を歴任

 岸田氏は第2次、3次の安倍内閣で、外相を連続期間として戦後最長の4年8カ月間務めた。辺野古埋め立て承認には「日米の協力を安定的に進める上で大きな意義がある」と評価した。2016年の米軍属女性暴行殺人事件では、日米地位協定改定には踏み込まず、米軍属の定義を明確化する地位協定の補足協定の締結で対応した。米軍普天間飛行場の県外移設の要望には「辺野古が唯一」との安倍政権の方針を繰り返した。

 07年の第1次安倍改造内閣と、続く福田内閣で沖縄担当大臣も務めた。政府閣僚として沖縄との関わりは初めてだったが、離島など県内を巡り、沖縄科学技術大学院大学の振興にも力を注いだ。

 沖縄担当相時代は、普天間移設措置協議会に沖縄担当相として出席し、当時の仲井真弘多知事から移設案の沖合移動など要望を受けた。外相時代、沖縄地元紙のインタビュー依頼に対して受けないこともあり、沖縄に関する発言には消極姿勢だとの批判も県内にはある。

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<石破氏>「辺野古唯一」に疑義

 防衛相を務めた石破氏は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「とにかくこれしかない、進めるんだということだけが解決策だとは思っていない」と述べている。安倍政権の「辺野古が唯一」の方針に疑義を投げた。首相就任時には対応が注目される。日米地位協定については「運用改善はもはや限界だ。変えていかないと駄目だというのは私の信念に近いものだ」と述べ、見直すべきだとの姿勢を示している。

 小泉内閣で防衛庁長官、福田内閣で防衛相として辺野古移設のアセスに関わった。自民党幹事長時には、県選出・出身の自民党国会議員らに辺野古移設を容認させて会見した様子が「平成の琉球処分」と県内から批判された。2014年の名護市長選では名護に限定した500億円規模の「振興基金」創設を掲げ、「アメとムチ」だと非難された。