学生ら採用取り消しにおびえ、終わらぬ就活 コロナで環境一変、不安と戸惑い


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 新型コロナウイルスの感染拡大が企業の採用に影響を広げる中で、就職活動をする大学生は急激に変化する環境に苦しんでいる。

 琉球大では8月末までの求人件数が約830件にとどまり、前年の約1090件から23・9%減少している。県外企業の求人は前年の約870件が今年は約660件に、県内企業の求人は約220件が約170件となり、ともに減少している。就活支援の担当者は「毎年3分の1程度は公務員や教員志望だが、今年はさらに安定志向が高まるのではないか。売り手市場ではなくなったので、積極的に企業情報を収集するよう学生にはアドバイスしている」と話した。沖縄大でも8月末時点の求人が392件となり、前年同時期の約500件から100件程度減少しているという。減少している業種などは今後取りまとめる予定という。

 県外の大学に通う県出身の女子学生(22)は、観光関連企業へのUターン就職を希望している。新型コロナの感染拡大に伴う観光客の激減で深刻な打撃を受ける観光業界。内定は得たが「内定取り消しになるかもと考えると、なかなか就活を終わらせられない」と疲労感をにじませた。

 自動車販売会社に内定を得た沖縄国際大の男子学生(21)は、オンライン面接について「通信環境のトラブルで音声が途絶えるなどして焦った。雰囲気が伝わりづらかった」と話した。「選考の遅い企業があり、採用しないのではないかと思った。一生やりたくないと思うくらい大変だった」と就職活動を振り返った。

 2022年度採用に向けて就活準備を始めている琉球大3年の女子学生(21)は、「とにかく不安。授業もなくてネットでしか情報が得られない。周りが何をやっているかもわからない」と焦りを見せる。

 希望していた航空会社はコロナの影響が直撃し、今年の採用活動が中止となった。コロナ禍が続き、来年度も中止になるのではないかと懸念する。「他にも興味のある仕事が見つかるかもしれないので、本当は合同企業説明会に参加して多くの企業の話を聞きたいが、開催されなくて困っている」と話した。