採用活動、企業側も情報発信に苦慮 対面面接できず、雇用の質に懸念 21年度採用調査


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県内企業の採用担当者が「Zoom(ズーム)」を通じて学生に自社の魅力をPRした県主催のウェブ合同就職説明会=8月26日、那覇市小禄の沖縄産業支援センター

 主要企業アンケートでは、コロナ禍の採用の課題として、企業説明会やインターンシップを対面で行えないことによる情報発信の難しさを訴える声が相次いだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月以降に県内で開催が予定されていた合同企業説明会の大部分が中止になった。例年、合同説明会を通じて、それまで情報のなかった業種や企業に関心を持つ学生も多いため、今年は説明会の中止によって企業側は幅広く学生に知ってもらうことに苦心している。医療機器卸売の沖縄メディコ(浦添市)は「BtoB(法人間取引)の企業は、BtoC(消費者向け)企業に比べてどうしても学生の認知度が低く、訴求に苦労している」と答えた。

 多くの企業が企業説明や面接にオンラインを導入しているが、対面と比べて情報量が少ないことから相互理解を懸念する声も多い。

 食品卸の許田商会(浦添市)は、印象や雰囲気など数値に表れないものをどう評価するかが企業、学生双方にとって難しいとして、「ミスマッチや将来的な離職などが気がかり」と指摘した。物流業の琉球通運(那覇市)は「現場のリアルな空気を生で感じてもらう機会が消失している。入社後、ギャップを感じて早期退職につながらないか不安がある」と懸念した。

 オンラインから対面に「回帰」する動きもある。沖縄ガス(那覇市)はオンライン採用では企業の雰囲気などをなかなか伝えきれないとして「コロナが落ち着いたら、少人数でも対面で採用活動を行いたい」と回答した。