経済活動再開にシフト 緊急事態解除 予防との両立焦点に


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 県は新型コロナウイルスの感染拡大収束の道筋が見えたとし、独自の緊急事態宣言を9月5日までで解除すると発表した。玉城デニー知事は「感染拡大防止と社会経済活動の両立をしっかり進めていく」と強調し、現時点での新規感染ゼロは目指さず、社会・経済活動を再開させるシフトを明確にした。

 玉城知事は宣言解除の理由として県民や事業者の感染防止対策への取り組みで、8月中旬をピークに新規感染者数や療養者数が落ち着いてきたことや、警戒レベル指標が改善傾向にあることなどを踏まえ「総合的に判断した」と説明した。

 その「判断」には県経済の状況も大きく影響した。8月1日から1カ月以上にわたる宣言期間は沖縄観光のトップシーズンとも重なり、玉城知事は「言うまでもないが非常に甚大な影響があっただろう」と指摘した。大幅な減収や休業、雇用環境の悪化など影響は広がり、これ以上、損失を拡大させないためにも経済社会活動を早く再開させたい狙いもあったとみられる。

 一方、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)した状況が続く。警戒レベルを判断する7指標のうち、療養者数と病床占有率は第4段階の「感染蔓延(まんえん)期」にあり、中等症、重症の患者数は厳しい状態が続いている。

 県は検査協力医療機関を増やしたPCR検査体制の拡充で早期の感染者発見、拡大防止につなげたい考えだ。軽症者療養施設としてのホテル借り上げを続けられるよう、予算の成立も目指す。宣言解除後も警戒を続けながら、コロナと「共存」できる環境づくりが早急に求められている。

(座波幸代)