西原町長選告示 候補者2人に聞く


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 【西原】任期満了に伴う西原町長選が8日に告示された。13日の投開票へ向け、実質的な選挙戦がスタートしている。立候補を届け出た、共に無所属新人で、前副町長の小橋川明氏(68)と元副町長で前町議の崎原盛秀氏(63)に町財政の健全化や教育・福祉などについて聞いた。

(聞き手・荒井良平)

 


小橋川氏「町内企業に優先発注、育成も」​​

 

小橋川 明氏

―町財政の健全化は。

 「国、県が予算編成に入る時期を見越し、提案を含めた実効性のある要請活動を行う。新たな沖縄振興計画へ向けて行動していく。行財政改革を確実に行う。国民健康保険(国保)赤字解消計画を見直し、一般会計の負担軽減を図る。一括交付金の延長またはそれに代わる制度の創設を強く求める。ふるさと納税を強化し、西原運動公園などにネーミングライツを導入する」

―教育・福祉について。

 「子どもの貧困の連鎖をなくすため、子ども・子育て支援の充実を図る。待機児童解消に向け保育士の育成や処遇改善、確保に取り組む。シルバー人材センターを整備する。先天性難聴児の早期発見のため、新生児聴覚スクリーニング検査を導入する。ICTを活用した教育を進め、キリスト教学院大学と連携し理科の授業を強化する。学習支援員らを適正に配置する」

―町づくりについて。

 「MICE施設建設と周辺環境整備を促進する。ゆいレールのマリンタウン地区への延伸を促進する。兼久マリンタウン線沿線地区のにぎわいのある沿道利用型施設の誘致を進める。沖縄自動車道幸地インターチェンジ周辺や徳佐田の都市計画施策に取り組む。西地区土地区画整理事業の早期整備を図る。西原バイパスの整備促進、工業団地周辺の用地拡大にも取り組む」

―新型コロナ対策は。

 「学校などへ消毒液や備品の整備を行う。GIGAスクール、オンライン授業、教職員の業務環境の整備を進める。町のゆいまーる募金を活用してフードバンクへの支援を行う」

―産業振興の施策は。

 「地元産業を盛り上げる。産業振興計画の策定へ取り組む。企業誘致を積極的に行い、雇用の確保を図る。町内企業へ公共事業を優先発注し、育成する」

―米軍基地について。

 「オール沖縄の枠組みの中で、玉城デニー知事を支えるとともに、普天間飛行場の閉鎖撤去、辺野古新基地建設の断念、オスプレイ配備撤回を求める」

―相手候補との違いは。

 「オール沖縄候補者選考委員会で上間明町長の後継者として決定された、オール沖縄の候補であること。教育長を経験し、教育に関する施策をしっかり推進できる。町民との対話を重視し、町民の目線に立ち、町民が主役の町政を進める」

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 小橋川 明氏(こばしがわ・あきら) 1952年5月25日生まれ。町兼久出身。沖縄国際大卒。町企画政策課長、総務部長、町教育長などを歴任。2016年から20年6月まで副町長。


崎原氏「トップセールスで町活性化」

崎原 盛秀氏

―町財政の健全化は。

 「一般会計に過度な負担をかけないような形で、国民健康保険(国保)の累積赤字を可能な限り早期に解消していく。歳出削減一辺倒ではなく、町長がトップセールスを行うことで閉塞(へいそく)した状況を打開する。企業誘致と雇用創出ができるよう都市基盤整備を促進し、財政安定化を図る。ふるさと納税を活用した税収アップを強化する。町の収入に合った事業の見直しが必要だ」

―教育・福祉について。

 「まず待機児童の解消だ。保育士を確実に確保し、父母らが安心して働ける環境を整備する。子育てに不安を抱える人が相談できる体制を整える。貧困対策として修学援助費の入学前支給を実現する必要がある。高齢者の健康づくり支援として『いいあんべー事業』の充実を図り、シルバー人材センターのさらなる活用を進める。学校の指導主事2人制を継続する」

―町づくりについて。

 「膠着(こうちゃく)したMICE事業を打開するために国・県へ要請する。民間活力参入を促すための積極的な営業活動が必要だ。西地区土地区画整理事業の早期完了、徳佐田・幸地の土地利用計画の早期事業化を目指す。西原バイパスの西原―中城間、県道浦添西原線、ゆいレール延伸に向け要請する。琉大病院の西普天間移転後の跡地利用計画策定への積極的な参画を目指す」

―新型コロナ対策は。

 「国・県と連携しながら失業者対策や生活支援など、迅速・的確な対応に努めたい。命を守るための感染防止対策、臨時休校に伴う子どもへの対応、学童クラブの支援にも取り組む」

―産業振興の施策は。

 「トップセールスにより、都市基盤整備の促進や、工業・商業地域拡大で企業誘致や雇用を促し、活性化を図る。産官学連携などを図り、特産品開発を進める」

―米軍基地について。

 「辺野古新基地は反対の民意を無視した形で工事が進められている。辺野古新基地に反対し、普天間飛行場の早期返還を目指し、その実現のために頑張る」

―相手候補との違いは。

 「若さと行動力と町民との触れ合いを重視し、地域活動などに一緒に汗を流しながら活動してきた。行政では技術職として町の将来構想や道路網、土地区画整理事業などを経験した。夢のある、町民が生き生きとした町にしたい」

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 崎原 盛秀氏(さきはら・せいしゅう) 1957年4月10日生まれ。町小波津出身。沖縄大卒。町建設部長などを歴任。2012年から16年まで副町長。18年の町議選で初当選し、20年3月に町議を辞職。