聖地でエイサー節、ウークイに奉納 名護の渡口さん、コロナ収束も願う


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エイサー節を歌い無病息災と新型コロナウイルス収束を祈願する渡口裕さん=2日、名護市城の「アパナク」拝所

 【名護】歌や三線に 踊りはへしちゅて 清(ちゅ)ら瘡(がさ)のお伽(とぅじ) 遊ぶうれしや―。新型コロナウイルス感染拡大で旧盆のエイサーが中止される中、沖縄県名護市城区の渡口裕さん(45)はウークイの2日夕、「ゼロにはしたくない。せめて歌で先祖を送りたい」と区内の聖地でエイサー節を歌った。伝染病を鎮める歌詞も歌い上げ、新型コロナ収束と無病息災を願った。

 渡口さんによると城区のエイサーは市内で最も歴史がある。戦後まもなく始まり、今年で72回目を数えるはずだった。旧盆の3日間、青年会中心に約30人が道ジュネーし30カ所で踊る。今年も7月下旬から練習を始めたが、県の緊急事態宣言を受けて中止を決めた。

 元青年会長でOBの渡口さんは、2003年ごろから地謡を務めている。この日は名護城への遥拝(ようはい)所「アパナク」拝所で三線を弾き、区のエイサー節など11曲を歌った。琉歌に伝わる伝染病を鎮める歌詞は「歌や三線に踊りを乗せて天然痘のお相手をして遊ぶのはうれしい。天然痘の神も喜んで病気を軽くしてくれるだろう」との意味だ。

 歌い終えた渡口さんは「帰ってきた先祖に思いを伝えると同時に、エイサーの思いを次につなげることができた」と語った。