【記者解説】県民のSDGs理解 窮状を支える施策あってこそ


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 SDGs(持続可能な開発目標)に関する万国津梁会議は7日、県に中間報告として提出した実施指針案で、県のSDGsパートナー登録団体との意見交換会などで県民の意見を取り入れ、沖縄が取り組むSDGsの方向性を示した。

 実施指針案は国際的な目標であるSDGsを沖縄に引き付けて読み替え、沖縄21世紀ビジョンを踏まえて「違いを認め合う」「医療・福祉の充実」「ユイマールの継承」といった12の優先課題を挙げた。総花的で抽象的な優先課題に対する具体的な施策は、今後策定するアクションプランで示す予定だ。

 中間報告は、県が年内に取りまとめる新たな振興計画の骨子案に盛り込むため、年度末の最終報告を待たずに提出された。会議では委員から「振興計画に盛り込むことが目的ではない」とくぎを刺す意見があった。振興計画以外のSDGsの取り組みも問われており、振興計画ありきではない県の姿勢が求められる。玉城デニー知事は「誰もが参画して美ら島沖縄を未来に」と提唱する。ただ未来へのスタート地点となる今、コロナ禍で明日の事業継続、日々の食事に困っている県民がいる。県民の窮状に応える施策を盛り込んでこそ、県が課題とするSDGsへの理解も進むだろう。
 (黒田華)