<辺野古設計変更・識者談話>環境破壊は県内全域に 桜井 国俊氏(沖縄大名誉教授)


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桜井 国俊氏(沖縄大名誉教授)

 埋め立て設計変更の承認申請書が告示・縦覧に供された。申請書は「計画変更が環境に及ぼす影響の程度は変更前と比べて同程度またはそれ以下」としている。承服しがたい。

 まず承服できないのは、ジュゴンの「個体A」と「個体C」がいなくなったことについて、辺野古の工事は関係ないと言い切っている点だ。ジュゴンCは2014年7月に多くの食痕を大浦湾の美謝川河口に残したが、同年8月14日の大浦湾でのフロート設置を機に古宇利島沖に移動し、翌年7月以降、行方知れずとなっている。工事は関係ないと断言するのは早計だ。

 見逃せないのが、本島北部だけでなく、うるま市の宮城島や糸満・八重瀬の南部地域、そして宮古島・石垣島・南大東島などからも埋め立て用の土砂採取が行われようとしている点だ。

 これらの土砂採取は納入業者が行うため、事業者の国は、環境配慮は納入業者の責務としている。業者任せの土砂採取がすさまじい環境破壊をもたらすことは、既に辺野古の埋め立て土砂を搬出している琉球セメント安和鉱山を見れば分かる。

 糸満・八重瀬の南部地域は戦争当時、多くの県民が亡くなった地域だ。そこの土砂を戦争のための基地建設に使用することは県民感情として許しがたい。 (環境学)