<辺野古設計変更・識者談話>地盤改良の手法、効果の明治を 立石 雅昭氏(新潟大名誉教授)


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立石 雅昭氏(新潟大名誉教授)

 本申請書の最大の特徴は、埋め立て海域の地盤を調査・解析した結果や、その調査で明らかになった広大な軟弱地盤をどのように改良するのかについて記述が無いことだ。この設計変更とそれに基づく工事で埋め立てが安全に行われるのか、工事完成後も代替施設としての機能が維持されるのか否かが不明だ。少なくとも、軟弱地盤の空間的広がりとその性状、地盤改良の手法とその効果を明示するべきである。

 以下の指摘は、これまでの沖縄防衛局の調査報告や昨秋に設けられた専門家による技術検討会での資料から、設計、工事に関わる重要な問題点である。

 (1)「普天間飛行場代替施設」と称しながら、国土交通省による「空港基準」ではなく、「港湾基準」に基づいた設計変更(2)耐震設計の基本・最新の科学的知見を無視(3)深さ70メートル以深の軟弱地盤の改良を行わなくても良いとする非科学性(4)工事中および供用期間中、地震による護岸崩落の可能性(5)埋め立て地内の震源断層としての活断層の調査・解析を放棄―の五つが挙げられる。辺野古海域の埋め立て地内には複数の活断層が走る可能性が高い。それにもかかわらず、沖縄防衛局は必要な調査・解析を放棄している。 (地質学)