サンゴ再生へ協議会設立 八重山漁協の種苗生産部会を支援


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サンゴの有性生殖の作業の様子(日本トランスオーシャン航空提供)

 日本トランスオーシャン航空(JTA、青木紀将社長)と水産土木建設技術センターは9日、サンゴ再生を支援する「有性生殖・サンゴ再生支援協議会」の設立を発表した。サンゴの再生に取り組む八重山漁業協同組合のサンゴ種苗生産部会を、資金や技術指導で支援する。

 同漁協は2017年からサンゴの養殖に取り組んでいる。サンゴの植え付けには接ぎ木のような方法を用いる無性生殖と、有性生殖の2種類がある。有性生殖はより自然に近い形で受精させるため多様な種類のサンゴを生み出すことができ、大量の種苗を生産できるメリットがある。しかし、特別な装置を利用するなど高度な技術や費用を要するため、普及はしていない。

 協議会の設立により、水産土木建設技術センターが同漁協に技術指導し、JTAを始めとする構成企業7社が資金面を支援する。石垣島の崎枝湾で増殖を進め、25年度までの6年間で約1万群体の種苗を生産することを目標としている。

 サンゴ礁域には多様な生物が集まるため、漁業関係者にとって貴重な漁場ともなっている。しかし近年の海水温上昇による白化現象や、オニヒトデによる被害を受け減少傾向にある。

 八重山漁業協同組合の伊良部幸吉代表理事専務は「サンゴ礁は漁業とも密接に関わっている。持続的な漁業を可能とする体制を構築し、サンゴと漁場の再生を目指していく」と話した。

 協議会の構成メンバーにはJTAのほかにアザナ、仲本工業、琉球銀行、沖縄サントリー、八重山観光フェリー、沖電開発の県内企業6社も参加している。