県内コロナ不正受給 申請代行、手数料50万円 税務・会計専門家関与か


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 新型コロナウイルス対策で収入が減少した個人事業者に、最大100万円が支給される持続化給付金の不正受給が発生している問題で、県内で不正受給の申請を代行する男の手口が10日、関係者への取材で分かった。関係者によると男は申請を代行し、給付金が振り込まれると、100万円のうち50万円程度を手数料名目などで得ているという。不正受給の手口の一つとして県警も把握しており慎重に捜査を進めている。

 複数の関係者によると、男は受給資格のない被雇用者らに持続化給付金の申請を呼び掛けているという。男は申請者に確定申告をさせた上で、事前に数万円を支払わせる。通帳や運転免許証、マイナンバーカードなどのコピーや委任状を提出させる。その後、申請者のスマートフォンなどを使用し、申請を代行する。

 給付金が申請者に振り込まれると手数料として十数万円、さらに成功報酬として数十万円を支払わせる。申請者の手元には50万円程度が残る仕組みになっているという。関係者によると、申請者が前年度から個人事業者であったことなどを装う必要があることから、背後には税務や会計に詳しいブローカーの存在もいるとされる。

 県警は今月3日、不正受給に関与した可能性があるとして、本島中南部4カ所で家宅捜索を実施した。申請に用いられた可能性のある資料を押収し分析を進めているほか、関係者の任意の事情聴取も続けている。県警は組織的な不正受給の背景には暴力団組織や、同組織などに所属せずに犯罪行為を繰り返す半グレ集団がいるほか、一般人の中でも不正受給が浸透しているとみて、県内での実態把握を急いでいる。