<識者談話>島袋純琉大教授 コロナ交付金「困窮者にこそ集中支援を」


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島袋純琉球大学教授

 地方創生臨時交付金は内閣府の国庫補助で、一括交付金と仕組みは似ている。自治体の申請を受けて各省庁から交付するが、用途に限定があり交付に時間がかかる。本来なら地方交付税交付金のように、申請も必要のない形が望ましい。市町村を信頼してどのように使うかを任せた方がまだよい。困窮している住民がどこにいるか、どのようにすれば支援が届けられるのか、最も詳しいのは自治体だ。早急に対策が打てるのも国より自治体だ。

 今の仕組みの中で各自治体は短期間で用途を懸命に考えている。うるま市の市出身の県外学生支援や中城村の塾代補助、豊見城市のコロナ対策ガイドラインを守った店舗への補助など、困っている人に対する直接的な支援やコロナ対策の促進につながる用途もある。

 プレミアム商品券の発行対象を全世帯とする自治体もあるが、本来は最も困窮しているところに集中的に支援した方がいい。困窮者への直接支援という基本線から外れると、コロナとはあまり関係のない経済振興策に変質してしまう恐れがある。

 困窮している人は、声を上げづらい状況にあることが多い。地域やメディアが声を拾っていく必要がある。支援策が困っている人にしっかり届いているか、県民は常にチェックしておく必要がある。

(行政学)