「沖縄差別と同構図」 ハンセン病元患者ら語る 那覇


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話者の話を聞き議論する、平良仁雄さん(中央)ら=8月30日、那覇市牧志の「Punga Ponga(プンガポンガ)」

 【那覇】沖縄のハンセン病の歴史を知ってもらおうと元患者や家族が語るトークライブが8月30日、那覇市牧志のブラジル軽食イベントスペース「Punga Ponga(プンガポンガ)」で開かれた。

 この日話をした大宜味村在住の50代男性は、父親がハンセン病の患者だった。男性は、差別を受けたことで酒に溺れた父から家庭内暴力を受けたことで、距離を置いていた。その父から手記の清書を頼まれたことを紹介した。

 書きためた500枚に及ぶ父の手記と、手記に書かれなかった差別に耐えてきた半生が愛楽園の資料館に無記名の証言集で紹介されている事実を知り、衝撃を受けたことを話した。

 男性はハンセン病患者の根絶が国策として掲げられ、患者は社会から強制的に隔離、断種と堕胎を強要されてきた歴史と、沖縄戦、その後の基地問題など沖縄差別の構図は同じだと指摘。「無関心は罪であり共犯である。ハンセン病は『恐ろしい病気』と国民に植え付けた間違いを教科書で教えるべきだ」と持論を訴えた。

 また元患者で沖縄ハンセン病回復者の会共同代表の平良仁雄さん(81)は「ハンセン病患者を価値のない人間だと撲滅するために国は『国辱病』と宣伝してきた。腹の底から込み上げる怒りの根底に平和がある」と強調した。(喜納高宏通信員)