「うるまエール」県外学生350人に特産品を 食生活も支え<コロナに負けず 地域にエール ②>


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うるま市の農産品で、市出身の県外学生を支援する農家ら(提供)

 うるま市は6月から、新型コロナウイルス感染拡大の影響でアルバイト収入などが減り生活が不安定となっている市出身の県外学生に対し、市特産品を無料配送する「うるまエール」を始めている。現在約350人の学生が利用している。市は対象者が全体で1200人いると見込んでおり、12月末までの実施期間中、一人でも多くの学生に同サービスを届けたい考えだ。

 事業は、市前原にある農産物の直売所「うるマルシェ」が担当している。ゴーヤーやヘチマ、パパイアなどをはじめ、津堅島の塩モズクや紅芋チップス、中身汁などの加工品を段ボール1箱に詰め、送っている。

 新型コロナ感染対策のため、県外の一部大学では現在、オンライン上でのリモート授業が続いている。感染流行の第1波到来時には、バイト先の飲食店などが営業自粛するなど生活費に充てる収入が確保できない人が急増した。

 うるまエールは、そのような学生にとって多大な支援となった。事業開始後、利用者や保護者から感謝の声が多く届いた。東京の大学院に通う女子学生からは「非常に感激した。感謝してもしきれず、胸がいっぱいになった。より一層勉学に励みたい」とのメールを受けた。

 同事業は当初、新型コロナ対策事業費を使いスタートした。だが、同事業費だけでは全対象者に行き渡らないと考え、8月にガバメントクラウドファンディングを始め、インターネット上で100万円の資金調達を進めている。現在、約25万円が集まっている。寄付期間は10月末まで。

 市の担当者は「職員がアイデアを出し合い、実行した。とてもいい事業になったと思う。利用者から連絡もあり、喜んでもらえてうれしかった」と語った。

 対象者の中には、大学閉鎖後、うるま市内の実家に帰省していたため、うるまエールを利用していない人もいたという。市はその学生らが秋以降、県外の大学に戻った後、同サービスを利用することも想定している。問い合わせはうるマルシェ(電話)098(923)3911。 (砂川博範)
  (土・日・月に掲載)

[うるまエール]
 【内容】うるま市出身で県外に進学した学生を対象に、市の農産物や特産品を段ボール1箱に詰め、無料配送する支援事業。
 【期間】申し込み締め切りは11月末、事業実施期間は12月末まで。
 【予算額】600万円。クラウドファンディングで追加支援受け付け中