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先月28日、Yahoo!Japanは「コンプレックスに関する表現の広告審査について」という発表を行い、Yahoo!の広告で「体毛が濃くて異性にモテない」「ふくよかな体型で周囲の人から一緒に歩くことを避けられた」など人のコンプレックスを露骨に表現する広告の審査を厳しくし、広告掲載を断ることを表明しました。
また9月2日には人気女性YouTuberが過去に豊胸手術を行っていたことを隠し、バストアップサプリメントなどを紹介していたことで謝罪動画を出すなどの騒動も発生しています。
この別々のニュースは、「人の見た目やコンプレックスをWebでお金に変える」【※1】という共通点があります。
※1 人の見た目やコンプレックスをWebでお金に変える … 身長が低い・高い、体毛が濃い・薄い、体重が重い・軽いなど、身体的な特徴は人それぞれです。本来ならば、それに「良し悪し」はないはずですが、私たちの社会の中では「スラッといていて、体毛も薄い方が美しい」など、ある一方を「良し」とする価値観が広がっています。そうした価値観を植え付け、商品を売るために「コンプレックス広告」が生まれます。
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SNSや動画サービスなどは、無料で利用している人がほとんどだと思います。
当たり前ですが、その会社はボランティアや慈善事業でサービスを提供しているわけではなく、広告で収入を得ています。
少し意地悪な表現をすると「その会社が広告収入で儲けるために私たちはタダ働きをしている」とも言えるのです。
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インスタグラムやTikTokなどを見ると、スタイルの良い、可愛い・かっこいい人たちのキラキラした写真・動画がいっぱいです。
憧れる気持ちと、「それに比べて自分なんて…」という気持ちが出てこないでしょうか?
Webの世界では、意図的に憧れとコンプレックスを抱かせ、コンプレックス商材を販売する構造がありました。
他のSNS大手がYahoo!に続いてそうした流れを変えていくのか注目です。
【プロフィル】
モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。