辺野古新基地工事の設計変更申請書「告示・縦覧」って何?<りゅうちゃんのそこ詳しく!>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
普天間飛行場移設に伴う新基地建設の現場=6月

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が県に提出した工事の設計変更承認申請書の「告示・縦覧」が始まったとニュースになっていたね。聞き慣れない言葉だけれども「告示・縦覧」って何だろう? 記者に聞いたよ。

西銘 研志郎記者 (政治部)

 りゅうちゃん 8日に始まった「告示・縦覧」ってどういう意味なの?

 西銘研志郎記者 簡単に言うと、防衛局が提出した申請書の中身を県が公開して、設計変更で影響を受ける人たちから広く意見を求めることを指すよ。「告示」は県の官報で意見を公募することを示すことで、「縦覧」は申請書の内容を見るという意味だね。辺野古新基地建設工事に適用される公有水面埋立法で定められた手続きなんだ。

 Q そもそもどうして防衛局は設計変更が必要と言っているんだっけ?
 A 新基地建設が進められている辺野古の大浦湾の海底に、とても軟らかい「軟弱地盤」が見つかったことが主な理由だね。そのまま埋め立てると地盤が沈む恐れがあるんだ。防衛局は地盤を安定させるために工事計画を変えたいのだけれども、計画を変えるには知事から改めて承認をもらわなければならないんだよ。

 Q 設計変更にはどんな問題があるの?
 A 防衛局はこれまで、砂などで作った杭(くい)約7万1千本を海底に打ち込み、最も深い所で水面から70メートルまで地盤改良すると説明していたんだ。けれども軟弱地盤は水面から90メートルに達する所もあると言われていて、改良工事は前例のない難工事になるよ。
 国は工期は12年で総工費は9300億円になると発表しているけど、この数字には新基地完成後の補修費用は含まれていないんだ。コストが青天井になるという指摘があるね。このほかの問題点についても専門家が声明を出しているよ。

 Q 申請書は誰でも見ることができるのかな。
 A 県庁や名護市役所などで誰でも見ることができるし、県のホームページでも公開されているよ。申請書を閲覧できる場所を一覧にした表を作ったから参考にしてね。

 Q さっき「意見を求める」って言ったよね。県はどんな意見を募っているの?
 A 「利害関係人」からの意見を求めているね。利害関係人とは、設計変更により利益を得る人や逆に被害を受ける人など、何らかの影響を受ける人のことを指す言葉だよ。

 Q 利害関係人になるのはどんな人なの?
 A 特に決まりはないよ。本人が「関係者」と考えれば利害関係人ということになるね。設計変更について思うことを自由に述べることができるんだ。
 住んでいる場所や年齢などによる制限もないよ。2013年に現在進められている新基地建設の承認申請書が公表された時には、県内外から約3千件の意見が県に寄せられたんだ。

 Q 利害関係人はどうやって県に意見を述べるの?
 A 県海岸防災課など関係する県の部署が意見を受け付けているよ。郵送やファクシミリのほかにも電子メールを使って送ることもできるんだ。

 Q なるほど。意見を送ってみたくなってきたけれども、どんなことを書いたらいいんだろう?
 A 決まった書式や文字数の指定はないんだ。でも県は意見書様式の例をホームページに載せたり縦覧場所に置いたりしているので、それを参考にしてもいいかもね。

 Q 利害関係人の意見を集めた後、県はどうするの?
 A 寄せられた意見は県が申請内容を審査するときの判断材料になるよ。県は利害関係人からの意見や関係市町村などからの意見を参考にしながら申請内容について精査していくんだ。専門家からもアドバイスをもらう予定だよ。玉城デニー知事は縦覧で寄せられる意見について「しっかりと受け止めて真摯(しんし)に精査していきたいと思う」と話しているね。

 設計変更で影響を受ける人は意見を示すチャンスだから有意義なものにできるといいね。

 「告示・縦覧」について気になることがあれば県海岸防災課が質問を受け付けるよ。電話番号は(電話)098(866)2410だよ。