自民県連の菅氏最多票、沖縄での実績評価 政権継承を支持 次期衆院選「顔」に懸念も


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党員・党友による予備選挙の開票作業を行う県連職員ら=13日、那覇市の県連会館

 自民党総裁選に向けた県連の予備選挙は当初の大方の予想通り、菅義偉官房長官が最多得票数を獲得した。背景には無派閥ながら自民党の5派閥の支持を取り付けた菅氏の手腕に加え、県内政財界と菅氏の密接な関係がある。一方、県連幹部からは予想通りの結果が出たことに安堵(あんど)の声も漏れる。

 今回、県連が実施した予備選は県議らで構成する常任総務会メンバーによる投票と、地域の党員・党友による投票の2段階で実施された。県連幹部によると、そのいずれも菅氏が最多得票数を獲得した。

 県連幹部の一人は今回の結果について「菅氏は北部訓練場の大規模返還を実現させるなど沖縄にとって多くの実績を上げており、沖縄の党員にとって安倍政権イコール菅氏だ。安倍政権の継承を掲げている菅氏に多くの党員が支持したということだ」と読み解く。

 別の幹部は「自民党内で沖縄の事情を最も把握しているのが菅氏であり、次期沖縄振興計画の策定を進める上で菅氏の協力が不可欠だ」と述べた。予備選の結果については「菅氏との関係を考えると良い結果となった」と評価した。

 県連幹部らがそろって証言するように菅氏は官房長官として沖縄振興と米軍基地の二つの分野で積極的に関与してきた。

 選挙戦では安倍晋三首相の名代として何度も沖縄入りし、経済界や自民党の地方議員を集めた会合を頻繁に開催するなど、沖縄との関係性は「非常に深い」(県連幹部)ものとなっている。

 一方、菅氏が次期総裁に選出される公算が大きい中、県連関係者からは菅氏が次期衆院選の顔となることへの懸念も少なくない。

 ある関係者は「『粛々』という言葉に象徴されるように県民の中には菅氏に反発を覚える人も少なくない。いずれにしても次期衆院選は厳しい戦いになることは間違いない」と語った。
(吉田健一)