三段跳び屋良が優勝 15メートル85沖縄県記録 国体選考会


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男子共通三段跳び 力強い跳躍を見せる屋良太章(友睦物流)=13日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 陸上の第75回国体選考会(三重国体1次選考会)は13日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われた。

 男子オープン三段跳びの屋良太章(友睦物流)が自身の持つ県記録を1センチ更新する15メートル85を跳び、優勝した。男子A(高校1~3年)ハンマー投げではアルサランシャキル(中部商高)が61メートル95で頂点に立ち、男子共通円盤投げと合わせて2冠を達成した。

 並々ならぬ覚悟を胸に、三段跳びの屋良太章(友睦物流)が1本目のスタートラインに付いた。スランプに陥り、3年半もの間、自身が持つ県記録を更新できずにいた。28歳。「今年(新記録が)出なかったら引退しようと思っていた」

 力強い助走からホップに入り、ステップでも推進力が衰えない。これまでは「癖でつま先から入り、ブレーキをかけてしまっていた」というが、足底全体で地面を捉えるようにする練習の成果が表れた。スムーズな流れからジャンプで1・6メートルの追い風に乗った。

 「記録は15メートル85」。審判員の声が耳に入ると、右手で力強くガッツポーズ。「一度調子が落ちるとなかなか抜けられない。ここまで長かった」。感極まり、涙がこぼれた。2018年に友睦物流に入る前は一人で練習していた。「今は会社の仲間が助けてくれる。本当に感謝してる」。そう繰り返した。

 3度目の出場となる日本選手権(10月1~3日)の参加標準記録も突破した。来年に延期された東京五輪出場という高い目標も持ち続ける。「まずは16メートル。いつでも戦える状態をつくりたい」。取り戻した自信を胸に、次の舞台に挑む。
 (長嶺真輝)