<識者談話・タイムス社員給付金不正> 青木理氏 民意を代表する立場の自覚を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
青木 理氏(ジャーナリスト)

 コロナ禍で苦しむ人びとに手を差し伸べる制度を、報道機関の人間が不正利用したなら論外の不祥事だ。新型コロナが深刻な状況になっている中、人びとを一刻も早く救済するために給付金支給のハードルは低めに設定すべきだと多くのメディアが説いた。それを逆手にとった不正は言語道断の詐欺的行為であり、まして政治や社会の不正をチェックすべきメディア組織の一員が制度を悪用して給付金をだまし取ったとするなら罪はあまりに重い。

 権力監視を最大の任務とするメディア組織で働く者は、記者に限らず印刷や営業、販売などの社員を含めて高度な倫理観が求められる。常日ごろ権力を批判する以上、自らも厳しく律しなければ、信頼を失う。

 まして沖縄には政権やその取り巻きから憎悪の目が注がれている。必死の民意を代表する立場を自覚してほしい。