超低空飛行の艦載機は既に手が届きそうに近い
福井県敦賀市、岸本博義さん
敦賀駅に勤務していた。艦載機が現れたのは1945年7月30日午前。B29の焼夷弾(しょういだん)攻撃から3週間もたっていない。
米軍機の爆音を聞いた。車両の打音検査で小さな異常も聞き分ける自慢の耳。「いつものB29と違う」と直感した。防空壕(ぼうくうごう)へ走ったが間に合わない。とっさに貨車の端に潜り込んだ。同時に、車両のもう一方の端に爆弾が落ちた。
ガーンと大きな金属音がして、何も聞こえなくなった。両耳の鼓膜が破れていた。右腕に破片が食い込み、あごがぱっくり切れた。傷は今も残る。
(2015年、福井新聞取材=当時86歳)