「しまくとぅばを日常に」 クレスト、琉歌が流れる自販機を設置 沖縄県内に約40台


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琉球国王が詠んだ琉歌の掛け軸を販売するしまくとぅばラジオ自販機をPRするクレストの池原稔代表(左)と照屋志樹さん=8月、北谷町北谷

 「栄てぃ行く中に慎まななゆみ~」。焦げ茶色の見慣れない自動販売機から、突如として琉歌が流れてくる。しまくぅとば漫談大会などを主催するクレスト(嘉手納町、池原稔代表)が、24時間365日しまくとぅばと触れあえる自販機を沖縄県内に約40台設置している。その名も「しまくとぅばラジオ自販機」だ。18日は県が条例で定めた「しまくとぅばの日」。しまくぅとばの継承に向けた取り組みが県内で広がっている。

 クレストは2014年、しまくとぅばの番組を放送するネットラジオ「沖縄しまくとぅば放送局」を開設した。その後、県内各地に琉歌が流れる自販機の設置を始めた。販売するのは雑貨や琉歌が書かれたミニ掛け軸など。琉歌を詠み上げる音声が、常に自販機から流れている。名護親方のいろは歌や琉球王国時代の女流歌人・恩納ナビーの歌など、種類は多種多様だ。琉歌を詠む声の主は、地域の老人会の会員たち。池原代表は「喜んで協力してくれているよ」と笑う。

 昨年10月31日の首里城焼失後は、琉球国王や王家関係者が詠んだ琉歌40首が流れる自販機「首里城・王家の伝言」を設置した。現在は北谷町北谷のおおばたばこ駐車場内、沖縄市の沖縄こどもの国、名護市の轟の滝公園など3カ所にある。

 自販機の硬貨投入口などには、しまくとぅばが記載されるなど、さまざまな工夫が凝らされている。池原代表は「日常の中に当たり前にしまくとぅばがある環境をつくること。耳に、目にする機会を増やしていけば大切な言葉の文化を残していける」と思いを込めた。

 (新垣若菜)