「沖縄の件150億円アップ」電話1本、菅氏が決めた…安慶田前副知事に聞く


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安慶田光男氏

 安倍政権の官房長官兼沖縄基地負担軽減担当相として名護市辺野古の新基地建設を推進した菅義偉首相や、玉城デニー県政への影響について、安慶田光男氏が語ったのは次の通り。

 ―菅氏の人柄は。

 「辺野古の埋め立てを強行して翁長(雄志前知事)とやり合ったイメージが強く、マイナス要因となっている。もちろん辺野古の埋め立ては僕も反対だ。賛成する人は沖縄に誰もいない。でもだからといって、行政がずっとけんかばかりしているわけにはいかない」

 ―菅首相は牙を向けて来る人には厳しいか。

 「キャンキャンほえる賢い犬より、クンクンとしっぽを振ってくる愚かな犬がかわいいということわざもある」

 ―玉城県政の沖縄振興への影響をどうみるか。

 「要請の仕方を考える必要がある。例えば僕が副知事時代に2016年度予算を菅氏と2人で決定したことがある。沖縄担当相も除いて。菅氏は3010億円を提示した。僕は3500億で絶対に交渉しようと思っていた。間を取って3300台から交渉を始めて、最終的に3350億円となった。菅氏はその場で担当者に電話して『沖縄の件、150億円アップ』とね。政治というのはこんな風に動くのかと感心した」

 「多い時には1週間に1回くらいひそかに会った。玉城知事は『対話による解決』を求めているが、きれいごとばかりでは物事は進まない。表向きの話し合いは望ましいが、表では言えないことも腹を割って密室でやることも必要だ。政治は両方備えないといけない。大田昌秀県政でも吉元政矩さん(副知事)がいた。調整役は必ず必要だが今の県政に交渉できる人がいない。翁長が政治家だったのはこういうところだ。けんかをするけどおまえ(安慶田氏)はパイプになれよと」