<記者解説>保守票取り込み狙う オール沖縄 衆院4区金城氏擁立


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 「オール沖縄」陣営が次期衆院選沖縄4区の候補者に政治団体「新しい風・にぬふぁぶし」共同代表の金城徹氏を擁立したのは、選考委が掲げてきた「保守票を取り込める候補者」との判断がある。6月の県議選で宮古島市区の候補者一本化を実現させた調整能力なども考慮された。

次期衆院選で沖縄4区の候補者擁立について説明する選考委員会の大城一馬委員長(左から2人目)ら選考委のメンバー=19日、南城市

 選考委がこだわってきた「4区出身」という候補者の条件を取り下げたことで、金城氏が有力候補に急浮上した。同様に名前が挙がった那覇市議の平良識子氏が当初は有力視されたが、平良氏が固辞したこともあり、保守・中道系の市町村議員が信頼を寄せる金城氏でまとまった。

 金城氏は2014年の県知事選の際に、当時那覇市長だった翁長雄志氏を担ぐ過程で自民党県連から除名処分を受けるまで、自民党議員として活動してきた。現在は「オール沖縄会議」の共同代表として玉城デニー知事を支えており、「オール沖縄」が保守中道にウイングを広げる顔役を担っている。

 昨年6月に発足した選考委員会の協議で、金城氏の名前が挙がることはなかった。選考委の出馬打診を固持していた県政策参与の照屋義実氏が、今月12日の会合で金城氏など複数人を意中の人物として挙げたことで局面が変わった。

 にぬふぁぶしは今回の選考委の擁立判断を「全力で支援する」(翁長雄治県議)方針で、金城氏の擁立で進む見通しだ。ただ、選考委内には急転直下とも言える金城氏の決定に不満もくすぶる。年内の解散総選挙が取り沙汰される中、選挙態勢の構築に向けて課題も残る。

(吉田健一)