沖縄の米軍コロナ「地元感情さらに否定的に」米議会調査局が報告


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【与那嶺路代本紙嘱託記者】米議会調査局(CRS)は20日までに、安倍晋三前首相の辞任と日米同盟に関する報告書を公表した。在沖米軍の新型コロナウイルスの集団感染について「公衆衛生への懸念から、軍に対する地元の感情はさらに否定的になるだろう」との見方を示した。

 報告書は「在沖米軍内での新型コロナの感染発生」と項目を立て、感染状況を説明した。「感染発生は日本の(基地所在の)地域を怖がらせ、同盟関係に新たにやっかいな問題を招いた。特に、米軍の駐留が長年問題となっている沖縄に驚きを与えた」とした。

 普天間飛行場の移設に伴う辺野古の新基地建設計画に触れ「移設計画は沖縄で評判が悪く、軍に対する地元の感情は、公衆衛生への懸念から、さらに否定的になるだろう」とした。

 玉城デニー知事が米軍の沖縄への異動中止を要請したことも記した。

 米軍人が民間空港を使わず米軍基地に直接出入りすることを認める日米地位協定について「一部の日本人が懸念している」と記した。米軍は感染防止策として4月以降、軍人の行動規制を敷いていると説明した。

 今年末までに決着させる在日米軍駐留経費負担の日米交渉について報告書は「安倍氏の辞任のタイミングは、同盟が直面している最も困難な問題の一つを回避させた」と表現している。

 米国でも11月に大統領選が控えており、日本に負担増を求めるトランプ氏が政権を去れば「新政権は交渉を容易にするとの見方もある」とした。

 安倍氏の功績として「日本の政治と外交政策に並外れた安定をもたらした」と評した。

 一方で、在日米軍の駐留経費負担交渉や地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画断念によって日米の亀裂が深まったとし、新首相はすぐに課題に直面するとの識者の分析を紹介した。